助成金と補助金で動画制作のコストを抑える

新たな人材を採用すべく、企業のブランディングムービーや採用動画を掲載するのは効果的です。

しかし、予算都合でその制作が難しいと感じている中小企業やスタートアップ企業も少なくないでしょう。

この記事では、予算が限られている企業の一助となるよう「助成金」と「補助金」を活用した採用動画制作のコストを抑える方法を解説します。

公的な支援を受けながら効果的な採用動画を作成し、最適な人材を確保しましょう。

【大前提】助成金や補助金を受けるなら専門家に相談

厚生労働省や経済産業省、地方自治体から様々な制度が設けられています。

しかし、その助成金や補助金の申請は複雑です。助成金や補助金を探すことから専門家に相談しましょう。

専門家に相談する理由
  • どの制度が適用可能なのか
  • どのように申請を進めればいいのか
  • どの制度が現在申請可能なのか

助成金や補助金の制度は、かなり流動的なので、インターネットにある情報だけでは情報更新のスピードに追いつきません。

そもそも現在利用できる制度があるか、補助金受給を検討する時点で専門家に相談するのが賢明です。

助成金や補助金の相談できる専門家
  • 金融機関(地銀・信用金庫など)
  • 士業(税理士や社会保険労務士など)
  • 商工会議所(地域の商工会や事業センターなど)
  • 民間のコンサルタント(財務系に詳しい経営コンサル)

無難に金融機関に相談するのが良いと思います。

無料で相談に乗ってもらえることや、ネットで調べても出てこなかったような融資制度、助成金制度を知れます。

専門家に相談すれば申請書類を用意すれば、後の段取りを全て行ってくれるので、かなりおすすめです。

助成金と補助金の基礎知識:採用動画制作に活かすために

専門家に相談することを前提に、助成金や補助金の種類について一般的なポイントを紹介していきます。

助成金補助金
目的雇用や労働環境の改善経済や地域の活性化
交付元厚生労働省 / 地方自治体経済産業省 / 地方自治体
受給のしやすさ条件を満たせば受給できる面接や審査あり(採択率5%以下も)
募集期間随時募集年1〜3回程度
財源雇用保険料税金
助成金と補助金の違い

採択してもらえれば、これらの金額は返済不要のため採用動画制作の予算に当てられます。

上記違いを見ると、コストパフォーマンス的にも助成金の方が有用かと思います。

また他にも助成金と補助金で下記事項は考慮しましょう。

助成金や補助金は特定の条件を満たす事業者やプロジェクトに対してのみ提供されます。これには、企業の規模、業種、事業内容、地域などが含まれます。

一般的には、適用条件を満たす事業者は該当する補助金や助成金の申請書を提出します。申請書は通常、事業計画や財務状況などを詳細に記述する必要があります。

助成金や補助金には、申請可能な期間と締切が定められています。遅れて申請を行った場合、受けられない場合があります。

受け取った助成金や補助金は、特定の目的にのみ使用できます。これらの資金を他の目的に使用した場合、罰則が科される可能性があります。

助成金や補助金を受け取った事業者は、その使用状況を定期的に報告する必要があります。報告内容は、事業の進捗、経済的な影響、達成目標などが含まれます。

専門知識のない素人がそれぞれの制度を細かく確認するのは、かなり負担が大きいです。

何度も言ってますが、助成金・補助金を申請する前に必ず専門家に相談しましょう。

採用動画制作で活用可能な補助金の事例紹介

可能であれば助成金について紹介したかったですが、定期的に募集をしているのが「補助金」のため、補助金の事例を紹介していきます。

小規模事業者持続化補助金

下記の情報は「小規模事業者持続化補助金<一般型>」第13回公募の公募要領を基に、概要を掲載しています。

補助対象経費に記載のある「広報費」が動画制作で利用できる補助金の経費項目です。

補助金の上限としては50万円~250万円で、申請要件によって異なります。

小規模事業者および一定要件を満たす特定非営利活動法人(以下「小規模事業者等」という。)が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(物価高騰、賃上げ、インボイス制度の導入等)等に対応するため、小規模事業者等が取り組む販路開拓等の取組の経費の一部を補助することにより、地域の雇用や産業を支える小規模事業者等の生産性向上と持続的発展を図ることを目的とします。

事業の目的|小規模事業者持続化補助金

小規模事業者であることの明確な定義は、公募要領に記載があります。(要確認)

補助対象事業(下記を満たす事業である)
  1. 策定した「経営計画」に基づいて実施する、販路開拓等のための取り組みであること。あるいは、販路開拓等の取組とあわせて行う業務効率化(生産性向上)のための取組であること
  2. 商工会・商工会議所の支援を受けながら取り組む事業であること
  3. 下記の事項は対象外
    • 同一内容の事業について、国が助成する他の制度(補助金・委託費等)と重複する事業
    • 本事業の終了後、概ね1年以内に売上につながることが見込まれない事業
    • 事業内容が射幸心をそそる恐れがあること、または公の秩序もしくは善良の風俗を害することとなる恐れがあるもの、公的な支援を行うことが適当でないと認められるもの

補助率と補助金額の合計が概ね下記になります。

類型通常枠賃金引上げ枠卒業枠後継者支援枠創業枠
補助率2/32/3(赤字事業者は3/4)2/32/32/3
補助金上限50万円200万円200万円200万円200万円
いずれかか1つの枠のみ申請が可能

ほか、インボイス特例があり、全ての類型に対して50万円の補助金枠が得られます。公募条件や公募期間は現在募集されているものと異なるため、随時確認をお願いします。

ものづくり補助金

下記の情報は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」16次の公募要領を基に、概要を掲載しています。

補助対象経費に記載のある「広告宣伝・販売促進費」が動画制作で利用できる補助金の経費項目です。

補助金の上限としては50万円~250万円で、申請要件によって異なります。

中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行い、生産性を向上させるための設備投資等を支援します。

事業の目的|ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

補助対象者は、中小企業者(組合関連以外)、中小企業者(組合・法人関連)、特定事業者の一部、特定非営利活動法人、社会福祉法人の5カテゴリーに分かれています。(要確認)

補助対象事業(基本要件のみ)

以下の要件を全て満たす3~5年の事業計画を策定することが必要

  • 事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加
  • 事業計画期間において、事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を、毎年、地域別最低賃金+30円以上の水準とする。
  • 事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加。

以下に同意の上、事業計画を策定・実行することが必要

  • 申請時点で、申請要件を満たす賃金引上げ計画を策定していることが必要です。交付後に策定していないことが発覚した場合は、補助金額の返還を求めます。
  • 財産処分や収益納付等を含め、補助金等の返還額の合計は補助金交付額を上限とします。
  • 再生事業者である場合には、各目標が達成できていない場合であっても返還は免除します。

補助率と補助金額の合計が概ね下記になります。

類型通常枠回復型賃上げ/
雇用拡大枠
デジタル枠グリーン枠グローバル市場開拓枠
補助率1/2、小規模企業者/事業者、
再生事業者は2/3
2/32/32/31/2、小規模企業者/事業者2/3
補助金上限1,250万円1,250万円1,250万円4,000万円3,000万円
いずれかか1つの枠のみ申請が可能

それぞれ従業員数に応じて、補助金の上限が決定します。

さらに大幅賃上げに係る補助上限額引上の特例があり、従業員数によって最低100万円~最大1000万円引上て補助金受給が可能です。

事業再構築補助金

下記の情報は「事業再構築補助金」第10回の公募要領を基に、概要を掲載しています。

補助対象経費に記載のある「広告宣伝・販売促進費」が動画制作で利用できる補助金の経費項目です。

補助金の上限としては50万円~250万円で、申請要件によって異なります。

本事業は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売上の回復が期待し難い中、ウィズコロナ・ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するために新市場進出(新分野展開、業態転換)、事業・業種転換、事業再編、国内回帰又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的とします。

事業の目的|事業再構築補助金

つまりは、コロナ補助金と呼ばれているものですが、2023年8月現在で利用されている企業は少ないような気がします。

補助対象者は、中小企業者(組合関連以外)、中小企業者(組合・法人関連)、特定事業者の一部、特定非営利活動法人、社会福祉法人の5カテゴリーに分かれています。(要確認)

補助対象事業(基本要件のみ)

以下の要件を全て満たす3~5年の事業計画を策定することが必要

  • 事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加
  • 事業計画期間において、事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を、毎年、地域別最低賃金+30円以上の水準とする。
  • 事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加。

以下に同意の上、事業計画を策定・実行することが必要

  • 申請時点で、申請要件を満たす賃金引上げ計画を策定していることが必要です。交付後に策定していないことが発覚した場合は、補助金額の返還を求めます。
  • 財産処分や収益納付等を含め、補助金等の返還額の合計は補助金交付額を上限とします。
  • 再生事業者である場合には、各目標が達成できていない場合であっても返還は免除します。

補助率と補助金額の合計が概ね下記になります。

類型成長枠グリーン成長枠卒業促進枠大規模賃金引上げ促進枠産業構造転換枠最低賃金枠物価高騰対策・回復再生応援枠
補助率中小企業者等1/2、中堅企業等1/3中小企業者等1/2、中堅企業等1/3中小企業者等1/2、中堅企業等1/3中小企業者等1/2、中堅企業等1/3中小企業者等2/3、中堅企業等1/2中小企業者等3/4、中堅企業等2/3中小企業者等2/3、中堅企業等1/2
補助金上限7000万円1.5億円1.5億円3,000万円7,000万円1,500万円3,000万円
いずれかか1つの枠のみ申請が可能

補助金条件は会社規模(中小企業者or中堅企業)やそれぞれの従業員数に応じて補助金の上限が決定します。(上記は、最大値で記載しています)

その他の自治体・組合等の補助金について

助成金や補助金の多くは自治体が出しています。例えば、下記のような助成金・補助金です。

自治体が行なっている助成金・補助金
  • 東京都新宿区|商工業緊急資金(特例)
  • 東京都立川市|令和4年度立川市ものづくり企業地域共生推進助成事業
  • 宮城県仙台市|令和5年度仙台市中小企業チャレンジ補助金事業
  • 福岡県福岡市|福岡市映像事業者海外展開法律支援金

など。自治体や組合のカテゴリーで助成金・補助金を検索しましょう。

「企業の都道府県&自治体 助成金」や「精密機械 中小企業 補助金」などの検索ワードが良いです。

助成金・補助金を最大限に活用するためのポイント

事前の情報収集から申請、活用、報告までの各段階での注意点やポイントがあります。下記で主要なポイントをまとめます。

情報収集

適切な情報源

経済産業省や厚生労働省、地方自治体の公式サイト、関連団体の公式情報など、信頼性の高い情報源を確認しましょう。

専門家の活用

助成金・補助金の申請や活用には専門的な知識や経験が求められる場合が多いため、必要に応じて専門家やコンサルタントの助けを借りることを検討してください。

助成金や補助金の相談できる専門家
  • 金融機関(地銀・信用金庫など)
  • 士業(税理士や社会保険労務士など)
  • 商工会議所(地域の商工会や事業センターなど)
  • 民間のコンサルタント(財務系に詳しい経営コンサル)

定期的なチェック

新しい助成金・補助金が随時公開されるため、定期的に関連情報をチェックする習慣を持つことが有益です。

適切な補助金・助成金の選択

自社の事業内容とのマッチング

申請する補助金や助成金が自社の事業計画や状況に合致しているかを確認してください。

重複申請の注意

似たような内容で複数の補助金を申請する際は、重複申請が許されているか確認することが必要です。

申請書類の丁寧な作成

明確な事業計画

申請する事業内容や目的を明確にし、具体的な計画を詳細に記載してください。

添付書類の完備

必要な添付書類をすべて揃え、書類の内容も正確にしてください。

申請締切の確認

締切を逃さないように、申請書類の準備を余裕を持って進めることが大切です。

補助金・助成金の適切な活用

使途の遵守

補助金や助成金は指定された用途にのみ使用する必要があります。他の目的での使用は避けてください。

中間・最終報告

補助金の受給後には、進捗状況や成果に関する報告が求められることが多いです。報告要領をしっかりと確認し、適切に報告を行うことが重要です。

まとめ|なるべく“助成金”を申請して費用抑えて動画制作しよう

結論として、なるべく「助成金」を活用して動画制作のコストを抑えましょう。

動画制作の助成金・補助金の経費で認められている項目としては「広報費」「販売促進費」の2つです。

それが認められる助成金・補助金を申請しましょう。

助成金・補助金のための資料作成がかなり手間ですが、助成金であれば申請が通れば必ず受給できるものです。

営業されている企業の所在地で申請できるか、調べてみましょう。

最後まで読んでいただきありがとうございました。